雇用環境悪化する技能実習生
不適切使用が指摘されてきた在留者の社会保障制度の整備も行うべき
技能実習研修制度は、そもそも海外進出した日本企業が現地法人から技術や知識を習得させるために現地社員を日本に招いたのに始まり、1993年に本格導入された。もともとの制度の趣旨はよかったが、近年では、当初の趣旨が失われて、単なる低賃金労働者の確保だという指摘もある。国際団体などから、外国人労働者の人権問題についての批判もある。
このため、政府も、2019年4月から新たな在留資格「特定技能」を新設し、人材不足が深刻な14業種を対象にした。2019年度から5年間で最大34万5000人の外国人労働者の受け入れを見込み、技能実習研修制度の段階的な振り替えをもくろんでいる。
新たに設けられた特定技能資格は、単純労働での外国人材活用に門戸を開くものだが、外国人労働者の権利保護にも配慮している。
問題は、外国人の技能実習生より、アルバイトだと筆者は考えている。日本では、留学生アルバイト30万人、技能実習生25万人程度が、「外国人労働者」となっている。先進国では、就学ビザの留学生は原則働けないのが一般的だ。留学生アルバイトについても、きちんとした就業条件での在留資格を与えて、しっかりと、国内雇用の確保の観点から管理すべきだ。そのほうが、国際的な摩擦が起きにくいし、無理に学業をさせることなく仕事に集中できる。
と同時に、在留者やその家族の社会保障制度などの適用においても、これまで不適切使用が何度も指摘されてきたので、誰からも文句の言われないような制度作りも併せて行うべきだろう。
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