介護職員の処遇改善

厚生労働省、2021年度から未経験者が介護事業に転職すると支援金20万円を支給する制度

厚生労働省は、2021年度から未経験者が介護事業に転職すると支援金20万円を支給する制度も設ける意向だ。これは2年間、介護事業に従事すると返済を免除される。リーマン・ショック時に行き場をなくした人が介護業界に流入し、一時的に人手不足は緩和した。だが、再び介護の現場は人手不足が加速している。

不足する介護人材の確保に向け、外国人受け入れの環境整備も進む。11月から出入国在留管理庁の主催で、「外国人材受入支援体制の強化」マッチングイベントが各地で開かれている。新型コロナ収束後を見据え、特定技能外国人中小・零細事業者マッチング機会を提供し、人材確保につなげたい思惑がそこにはあるようだ。

若者も外国人も、介護職員として自立するには研修や経験、時間が必要だ。これまで採用しても、景気が回復して他の業種賃金が上昇すると介護職員が離職するなど、介護業界の抱える本質的な問題が繰り返されてきた。介護業界に携わる人に、夢と待遇改善を示せるかが問われている。

(東京商工リサーチ情報部 後藤賢治氏)

「介護職就職支援金貸付事業」とは

厚労省が創設する「介護職就職支援金貸付事業」は、福祉の未経験者無資格者がハローワークを通じた職業訓練などにおいて介護職員初任者研修を受講し、高齢や障害分野に就職することなどが条件訓練費用も無料で、受講中は雇用保険を受給できない人でも月10万円の給付金が出る。研修中には職場体験も行い、福祉施設には訓練委託費を1人当たり1万円上乗せする。そのため、求職者施設双方にメリットがあるという。

その後、就職が決まると、求職者に就職支援金として20万円を支給。2年間現場で働くと返済を免除する。

就職支援金の使途自由だが、厚労省は通勤用の自転車の購入費や、転居費用、かばんや靴などの被服費を想定している。同事業の実施主体は都道府県などで、費用のうち10分の9負担する。